「マグリット展」(国立新美術館) [Art & Movie]
前回の更新からほぼ2カ月。ご無沙汰しておりました。
サボり癖が一度ついてしまうと、以前ならすぐ書いたであろうネタでも「ま、いっか」とスルーしてしまうようになり、気付けば更新どころか自分のブログすら覗かなくなって放置状態が続く有様。テニスネタは変わり映えなく、読書のペースもガタ落ちになっているからではありますが、一番にはタイトルの「閑中忙有」とはいえない今日この頃になっているという……。
とりあえず、まだこのブログを辞めるつもりはありませんが(-_-;)
さて。
今日は国立新美術館で3/25から開催されている「マグリット展」へ。 昨秋にこの展覧会のことを知ってから心待ちにしており、前売券(図録引換券付)も早々に購入していたのだけれど、何やかやと都合がつかず「開催期間の終盤になって混む前に……」と、ようやく足を運ぶことができた。
自分のHNにこの画家のファーストネームを借用(もう一人の著名な芸術家、そして往年の名テニス選手の名でもあるが)しているほど、昔からマグリットの絵画を好んでいる。日本で開かれたマグリット展には過去3度観に行っているが、前回('02年)からすでに13年が経っているわけで、その間にも各種のテーマ別?な展覧会(これとかこれとか)で、マグリットの作品を直に鑑賞することはできていたのだけれども、”大回顧展”、しかもこれまでで最大の規模ということで、期待はいやが上にも膨らむもので。
前回(「シュルレアリスム展」)で国立新美術館に来た際には、都営大江戸線を使って六本木駅から歩いたが、今回は東京メトロの乃木坂駅を使う。駅出口から美術館入口に直結しているので、天候の悪い日は便利だろうなと。個人的に千代田線への乗り換えがちと面倒、ってのはありますが
平日の15時過ぎにもかかわらず、当日券売り場にはけっこう人が並んでいた。と、これは6/1まで開催している「ル-ヴル美術館展」人気もあるのかもしれない、が(こちらは1階の展示室)。
入場し、1歩入ったところで思い返して音声ガイド(¥550)を借りることにする。以前はヘッドホン越しにごちゃごちゃ聞かされるより黙って見ていたいと思って借りることもなかったんだが、昨秋の国宝展で初めて借りてみたところ、案外にわかりやすかったので。ま、最たる理由は、画家が好んだというE・サティの曲が、語りのBGMに使われていたため。
実のところ使われていたのはほんの一部だけれど、マグリットの絵画とサティの曲は親和性がある、と昔から勝手に、何となくそう感じていたんだが、画家自身が好んだというなら、宣なるかな。
画家やその他芸術家の回顧展となると、時系列順に作品が展示されて、その画家の画風や色調、思想や心境の変遷を追うというのが通常だろう(暮れに観に行ったデ・キリコ展もそうだった)。
今回もそのパターンであって、自分もマグリットの変遷については大まかには知っているつもりだった。キリコの「愛の歌」に衝撃を受け、シュルレアリスムに傾倒しパリに出るものの、その後(シュルレアリスムの親玉ともいうべき)ブルトンと意見の相違から袂を別ったこと等々……が、第二次大戦中~戦後の「陽光に満ちたシュルレアリスム」と、その後の「雌牛の時代」については、その深い経緯をこれまで知らず、「炎の帰還」や「快楽」、「不思議の国のアリス」等に見られる―それまでの画風とは似つかない―印象派的なタッチが、時系列的にやや「?」だったので、今回は長年のささやかな疑問がやっと解けた。
展示の終盤に飾られていたのが、マグリットといえばこの絵ともいえる「大家族」。
中学の美術の教科書に載っていたこの絵を見て以来、最も好きな画家がマグリットになっている。本物を初めて見たのは1988年、国立近代美術館でのマグリット展だった。
27年前のあの時と同じ絵を、同じように一人で見ている……のに、心の中に浮かんでくるのは感動より、四半世紀前には想像してもいなかった今の自身に、ふぅ、と漏れる嘆息。
こんな今の自分を 重ねてみれば
変わりすぎたすべてに涙流れる
~「ためらわない、迷わない」
小田和正の曲の1フレーズがふと思い出されてきた。
……それでも、この画のように―自分の眼に映る曇り空にも、それを切り取るような晴れ間が見えてくると思いたいけれど。
特設ショップで、前売券に付いていた引換券で図録を受け取り(前売券+図録予約券でかなりお得だった)、自分用に少し買い物をして会場を出る。かれこれ2時間半ほどだった。
渋谷の丸善ジュンク堂で本を購入する。ウィンザーあたりを覗いていこうかとも思ったが、脚が疲れ気味なので、そのまま帰宅。
展覧会へ行くとクリアファイルを自分用に購入する。今回も大小(A4とA5)を買ったが、この2点(「光の帝国」と「ピレネーの城」)は今回は展示されていないというw(「光の帝国Ⅱ」が展示)。好きな作品のポストカードはあらかた持っているので、確か持っていないはずの、この2枚(「会話術」と「野の鍵」)。
図録は¥2,800(会期期間中) するだけあって、ハードカバーのかなり上質な様式。
マグリット展に行くのは、今回が4回目。
最初は前述の通り、'88年の国立近代美術館で(写真一番左の図録)。
次が'95年、三越美術館(三越の新宿南館8Fにあったが'99年閉館、現在はビックロになっている建物)にて(真ん中の図録、下は当時のリーフレット)。
そして前回、’02年に渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムでの開催(図録、リーフレットは一番右)。
4回もあれば展示(図録に載っている)作品のほとんどは共通しているものだけれど、改めて読み比べてみると、同一作品の解説でも色々と違いがあったりすることもあって、なかなか興味深い。
図録の厚さの比較(左から右へ時代順に)。
心の何処かで期待していたような感動―というか、感情を揺さぶられるようなことは特になかったのだけれど、それでも、観に行ってよかったなぁ、とは思えるものだった。
薄青い空に白い雲がぽつぽつと浮かんでいるのを見たら「あ、マグリットの空だな」と、これからも思うのだろう。
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