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等伯「松林図屏風」再観 [Art & Movie]

 仕事を午前で切り上げ、上野の東京国立博物館へ。

 国宝「松林図屏風」(長谷川等伯)が、この時期だけ特別公開していると昨年知り、この機会を楽しみに待っていたので。

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「博物館に初もうで」なるイベントが、東博では新年恒例なのだとか。但し、特別展ではない上冬季の営業時間なので、金曜日といえども17時まで。 上野駅を降りたのが15時半近くなので正味1時間半しか見ることが出来なかったが、お目当てはただ一つなのでそれでも間に合うか、と。

 隣の平成館では昨年10月から特別展「始皇帝と大兵馬俑」が開催されているけれど、今回は時間がないのでパス。

 正面の本館に入り、そのまま2階へ。まずは申年に因んだ新春特集展示「猿の楽園」を観る。リーフレットにフィーチャーされている狩野山雪「猿猴図」をはじめ、種々の猿を描いた絵画、工芸等が並ぶ。
 猿を描いた日本画といえば、やはり等伯の「枯木猿猴図」を思い出すのだが、さすがにこちらにも等伯をもってくるわけにはいかないか。

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 とはいえ、狩野山雪の描いた「猿猴図」もなかなかに愛らしい。

『日本美術の流れ』と銘打った常設展示を眺めつつ、国宝室へ。『長谷川等伯展』で観て以来だから、ほぼ6年ぶりに観る「松林図屏風」。

 特別公開の目玉だけあって、やはりこの部屋は他所よりも人が多い。それでもこの六曲一双の屏風に描かれた情景の前で、誰も一様に口を閉じてしばらく見入っているのは、この画が持つ「濃密なまでの静けさ」からなる、凄味のためだろう。 

 自分もまた、半ば悄然として10分ほど見入っていたかもしれない。6年前に比べ、これを描いた等伯の心境をより近く感じられるかもしれない―とも思ったのだが……。むしろ前回よりも、濃い霧の立ち込めるひやりとした空気、松の枝を揺さぶる風の音、松林の遠く向こう、浜に打ち寄せる冬の日本海の荒々しい波の音……そういったものが感じられなかったのは、これも自分の心の在り方故だったのか。否、観る側の感情や心境を絵に忖度させること、それを期待するようなことは……むしろ傲慢だったかもしれない。

 写真撮影は禁じられていなかったので、スマホや携帯を構えて撮影している人も多くいたが、自分はなぜか―撮ってはいけないように思えたので、撮らずに次の部屋へ。

 あとはざっと駆け足で。

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 小堀遠州作の茶杓「埋火(うずみび)」。

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 葛飾北斎「富嶽三十六景」から『神奈川沖浪裏』。
富士山といえば!の『凱風快晴』、それに『山下白雨』との三点が新春特別公開。

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 一休宗純書「松峯」。

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 上から順に、長次郎の黒楽茶碗、銘「尼寺」
 織部角鉢
 鼠志野鶺鴒(せきれい)文鉢

 などなど。

「松林図屏風」も「猿猴図」も、展示は来週月曜(17日)まで。
 もし来年1月も公開されるなら……再び観に行ってみよう。その時はまた違った感じられ方ができるのかもしれない。 

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コメント 2

ぼんぼちぼちぼち

最近、織部の良さがちょっと解るようになってきやした。
この素朴な雰囲気がいいなぁ、と。
by ぼんぼちぼちぼち (2016-01-21 14:22) 

るね

>ぼんぼちさん
自分も織部の良さを解しているのか……と訊かれたら自信はありませんw。
が、いいよなぁ、好きだなぁとは思うようになりました。
あの釉薬の緑がまた、いいんですよねぇ。
by るね (2016-01-23 03:23) 

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