5年ぶりにHEADに戻る [Tennis - Gear&Book]
台風16号、先ほど静岡県沖で温帯低気圧に変わったそうで。
とはいえ、雨は止んでも強い風が続くとか。また河川の増水、激しい雨で地盤が緩んでいるところも多いとのこと。まだまだ用心が必要なようです。
台風一過の青空は当面望めない模様で、せめてこれ以上、台風や雨風による被害が出ないことを願うばかりです。
さて、なんのこっちゃ?な今日のタイトルですが、ラケットを買い替えた。
たった1年2か月で。
ラケットをGAMMAのRZR98に持ち替えたのが昨年の6月のこと。 実は積極的にこれを選んだというよりは、自分の体力やプレイするペースを考えた上で、その後のラケット選びも勘案しての……ぶっちゃけセットアッパー的なチョイスだった(なので新古品+中古)。
それまで使用していたWilsonのBLADE98に比べ、取り扱いがかなりラクになったのは確かで、ここ2年くらい脚に不安を抱えるようになった自分にはBetterな選択だったと思う。
先月のこと「遅くなったけれど誕生日」と、プレゼントでもらったのが2本のNewラケ。
HEADのGraphen RADICAL MPの限定カラーモデル。昨年、国内で700本限定でリリースされたものだとか。RADICALは今年初頭に出たGraphen XT RADICALが現行品なので、実は旧モデルではある。
曰く「旧モデルだから新品だけど手頃だった」ことと「他の人が持ってないラケットって好みでしょ?」
仰る通り、ご明察。
Blade98の前に3年以上使っていたのが、HEADのMicrogel RADICAL MP。今回のGraphen RADICALから数えて3代前(現行からすると4代前)にあたる。'14年にリリースされたGraphen RADICALから、伝統の18×20のストリングパターン(MP)を廃止して、現在の市場で好まれる16×19になったこともあって、自分の中ではRADICALというモデルに関心が無くなっていた
……のだが、自分の中で18×20というパターンへの拘りがなくなれば、これはこれでアリだな、と。
但し、グリップが自分好みより1サイズ細いサイズ2のため、いつもお世話になっているgo for it!さんにストリング張りに持ち込んだ際、パレット交換で1サイズ太くしてもらうことも依頼したのが、先月下旬のこと。
先々週の末に「遅くなりました、出来上がりました」との連絡をもらい、引き取りへ。
黒地にオレンジの2トーンなデザインの通常版と違い、ブルーとグリーンでロゴとか小さな文字がレタリングされたデザイン。ややゴチャ×2してるように見えなくも……ない(^^;)
ストリングは2本ともBlade時代から標準で張っていたSOLINCOのTour Bite 125を55lbsで張ってもらう。以前のRADICALはフレーム自体にしなりがあったので、ポリとしては極柔なPOLY STARのEnergyが自分にとってベストマッチだったんだけれど、今回は後継のシリーズではあっても別物。ならば最近で一番慣れている糸の方が、ラケットの素性がよくわかるはず―ということで。
やはりダンパーは必要かな、ということで、Wilsonのスカル……ではなく、Smile&Frownを。
RZR98【左】との比較。
フェースサイズは同じ98平方インチ、クロス(緯糸)はRADICALの方が1本多いだけだが、それ以上に感じる印象の差……改めて、自分は丸型より縦長のフェースの方が好みなんだと実感。
先週水曜のレッスンで初打ち、さらに土曜日には友人に誘われ、職場のコートで4時間プレイしてみた。
Blade98からの持ち替えだったら打ち味の違いに相当戸惑ったかもしれないが、同じくパターンの粗目なRZR98からの移行なので、そう違和感を持たずにすんだ。フレーム構造も異なるので、昔のMG RADICALのしなりを感じるような打ち味はほとんど感じないが、予想していたよりもボールを掴む感覚があるのは、パターンが粗目ということだけじゃなく、このモデルから採用された新素材Graphenってやつの効能かしらん。
これ!という特徴や顕著な差はまだ把握しきれていないし、ボールの飛び具合とかスィートエリアの位置の差とか、細かいところで自分の感覚のズレを修正していくことは必要だけれども、今のところ大きな違和感がない―どころか、いたって快適に使えているのだから、持ち替えは成功!と考えていいのかも。今のところ、は。
……さて、最初は(ラケット自体の素性を見極めるため)装着を見送ったフルCAPグロメット。どのような違いが出てくるかはMG RADICAL時代に経験済ではあるけれど……もうしばらくはこのままで行こうかな、と。
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【2016全米】今さらワウリンカ優勝を振り返る [Tennis - Pro Tour]
気付けば今年の全米も終わり、今週は国別対抗戦、デビスカップの準決勝及びプレーオフ(勝てばワールドグループ残留、負ければ下位グループへ)が行われている。
プレーオフでウクライナと対戦中の日本は、初日で幸先よく2勝で王手。エース錦織は疲労を勘案して明日のダブルスから登場とのことだけれど、何とか明日で決めてもらいたいもので。
で、今さらながら全米オープンの結果(一応は触れておかないと)。
男子シングルスは、SFで錦織を破り、初の決勝に進んだ#3シードのS・ワウリンカ(スイス)が、No.1のジョコビッチを下し、初の全米制覇を果たした。
- Stan Wawrinka[3] (SUI)
6-7(1) 6-4 7-5 6-3 Novak Djokovic[1] (SRB) - ワウリンカが王者ジョコビッチを倒して3度目のグランドスラム制覇 [The Tennis Daily]
表彰式でトロフィーを掲げる優勝のS・ワウリンカ
決勝戦の内容については、既に多くの方が語っているので割愛。
というか、WOWOWもTennis TVも契約していない自分はハイライトでしか観ていないので、そもそも何も言えるわけがないのだけれどw
ジョコビッチ、マレーに続き現在ランキング3位につけているワウリンカ。フェデラーが年内いっぱいのツアー欠場、ナダルも手首の故障による欠場から復帰したものの、全盛期の球威が戻らずに苦しんでいるが、この2人の離脱によることだけが、ワウリンカを世界3位というポジションに押し上げたわけではないだろう。
ワウリンカは今回の全米でも勝ったことで、決勝で11連勝という数字を残している、つまり決勝に進出すればほぼその大会を獲っている。さらにグランドスラムでは決勝で3勝無敗、しかもその3試合では、その時のNo1プレイヤー(ジョコビッチ2、ナダル1)を倒している。
ワウリンカはこれで、'14年の全豪、昨年の全仏に続いて3つ目のグランドスラム制覇、一気にキャリア(生涯)グランドスラムに王手をかけたことに(残すはグラス(芝)コートのウィンブルドン)。非常に効率がいい獲り方、といったら身もフタもないが……実はフェデラー以前にキャリア・グランドスラムを達成したアンドレ・アガシ(USA)も、'99年の全仏で初優勝して4冠を達成したが、それまで他の3大会は1度ずつ優勝しただけだった(その後全米で1回、全豪は3回優勝している)。
既にキャリア・グランドスラマーが現役で3人もいるという、テニス史上かつてない物凄い時代が現在なわけだが、ワウリンカはここに加わるのか、また、全豪全仏では準優勝で涙を飲んでいるNo.2のマレーがどうなるのか。
また、今年前半までほぼ敵なしの独走を続けてきたジョコビッチも、夏頃から左手首や肩、肘の不調に悩んでいるという報道もある。またシードに入ったキリオス、A・ズベレフ、ティエムら若手が大会序盤で姿を消したのは残念だが、その一方で、今年の全米ではRd.4でナダルを破ったフランスのプイユや、同じくRd.4に進出した英国のエドムンド他、錦織世代の次を担う若手も次第にその実力を見せ始めている。
今年終盤から来年にかけて、男子ツアー界の勢力図も大きく変わってくるのかもしれない。
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ぼんぼちさん主催#4オフ会 レポ [Other Topic]
前回の続きというか、詳細(かーなーりヌケがありますが)なオフ会報告ということで。
10日の土曜日、高円寺のcafe yummyにて、ぼんぼちぼちぼちさん主催のオフ会に参加してきた。
今回が4回目で、自分は昨年6月の第2回から参加させていただいている。
前回、前々回のブログはこちら↓
実は直前になって至急の要件が入りそうな気配があったものの、辛うじてセーフ。安心して出かけてくることが出来た。
会場であるcafe yummyに到着したのは18時20分過ぎ。
今回は取り忘れなかった、店頭の案内ボード。
店内にはぼんぼちさんはじめ、10数名の方が……立食形式のはずが、皆さん着席というw
料理の前に、皆さんが持ち寄った差し入れが。
定刻の18:30を回って、ドリンクが行き渡ったところで、お待ちかねの乾杯♪
皆さんから異口同音に漏れる「いやぁ~~~、ウマいっ」の声。
この日参加された方の(凡そ)席順。
#1~#3まで、詳細なオフレポを書いてくださっていた方がいらっしゃらなかったので、不肖私めが急きょ席次をメモることに。
乾杯からしばらく後、自己紹介を行った頃の位置で、番号は下の参加者ボードの画像に基づいています。
ここから料理が次々に供されるわけですが、迂闊なことにメニューの写真を撮り忘れておりました。なので料理名は全く思い出せず……。当日参加された誰かがUpしてくれてると思いますので、詳しいことはそちらをご覧下さい(←他力本願ここに極まれり(-_-;))
オードブルのピクルス【左】は、酸っぱさがキツくない、さっぱり味。
冷製カッペリーニ(?)は空腹だったので、2口でペロリといただいてしまった。旨かったのでもっと味わうべきだったかな……。
こちらはドリンクメニュー。この日用の手書きメニューがオサレ。
右下のぼんぼちさんおすすめカクテル「Socoライムトニック」にハマった。
名物、yummyサラダが出てきた頃、
カウンターの左端にSmokin'エリアを作ってたむろする一群あり。
無論、自分も其処に。
2点というおみくじの結果よりも、意想外に哲学的な問いかけ。
両者が絡み合ったら「傷だらけの人生」ですな(by 鶴田浩二)。
【訂正】ブラックオリーブのペースト、モッツアレラ&トマト載せのブルスケッタ。
……ビールよりワインの人向け?
と、この辺りで恒例の自己紹介のお時間。
詳細は割愛しますが、名言?をいくつか。
「東京の人のアクセントは違うんです、呼ぶ時はフラットですからね」
(by よーちゃん さん)
「生き別れた弟と母親に、思いがけず再会できました」
(by gleen_blue_skyさん)
→「こんな息子を産んだ覚えはない」(by ponnta1351さん)
このネタのコンボに爆笑。
NO14Ruggermanさんとgleen_blue_skyさんの激似ぶりは、写真で紹介したいくらいw
知らない人に「2人はご兄弟ですよ」といったら、まず疑わないだろうな、のレベル。
そのNO14Ruggermanさん、
HNそのままに、ラグビー日本代表のユニフォーム姿での登場(ぼんぼちさんのコスプレに対抗?)。
この日はなんと新宿方面から自転車でいらしていたのだとか。
参加予定だった獏さんがいないことに気付くも「あ、今日はきっと水道橋だ!」という声に一同ナットク。広島ファンの方は待って待って待ち焦がれていた日ですから。
カープ党の皆さん、優勝おめでとうございます(←唐突に)。
この後、よーちゃんさん(アクセントに注意ですよ!)のマジック。
ゲストが文庫本の適当なページから選んだ単語を当てる、という定番のマインドリーディングものでしたが、話術も手際もお見事。
「こうけいしゃ(後継者)」という言葉をピタリ的中。
ゲスト役のRchoose19さんに後で聞いたところ「仕込みなんて一切ないですよ、ガチですあれは」とのこと。
ローストポークとマッシュポテト【左】と、
ブルーチーズ、無花果載せのクラッカーwithサラミ【右】。
個人的にこの日一番のインパクトだったのが、にゃごにゃごさんのTシャツ。
胸に大きく「爆裂道」。ご本人曰く「痛車ならぬ、痛Tシャツ」。
この日に合わせて着て来られたんだとか。
うーむ、自分もダイオウグソクムシTシャツを着てくるくらいの気概を持つべきであったか……。
これまた定番のピザ。
この頃になると判断力が鈍ってきて、写真を撮る前に自ら食べていたり。
なぜか猫耳カチューシャを付け、ゴキゲン♪のえーちゃんさん。
これまたいい表情してるんですが、お見せできないのが残念。
ゴキゲンのあまり、帰りがけにマスコットのエイちゃんをお店に忘れていったとか……。
今回は撮影を忘れなかったデザート。プリンだったかムースだったか……美味しかったことだけは覚えてますw
翌日が朝早い予定だったため、名残惜しくも22時半過ぎで先に失礼させていただかねばならず。
それでも、酔いからか中央線でウトウトして、気付いた時は降車駅のドアがぷしゅー、と(>_<)。おかげで目が覚めました。
先にも書いたように、ぼんぼちさんのオフ会に参加するのはこれで3回目なのだけれど、毎回思うのは「面白い話は極上の酒の肴」だなぁということ。自分のブログのコンテンツ、趣味の範囲からすると場違いなんじゃなかろかという思いは今も僅かながらあるのだけれど、いろんな方から伺う話が時にディープ、時に意外、時に驚きもあってとにかく面白いこと。
次回もぜひ参加したいな、と。
主催のぼんぼちぼちぼちさん、今回も大変お世話になりました。どうもありがとうございます。
参加された皆さんにも改めて御礼を。
次回またお目にかかれることを心待ちにしております。
※記載ミス、事実誤認などありましたらコメ欄でご指摘下さいませ。
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オフ会帰り…… [Other Topic]
【2016全米】錦織、マレーを破り4強へ [Tennis - Pro Tour]
ベスト8が出揃ったあたりで書こうと思っていた今年のUSオープン。
ほぼ順当に行くのかな……と思っていたら、今朝のニュースで「え!?」と。
- Kei Nishikori[6] (JPN)
1-6 6-4 4-6 6-1 7-5 Andy Murray[2] (GBR) - 錦織がマレーを破り、全米2年ぶりの4強 [The Tennis Daily]
昨夜のレッスンでもこの試合の展望でコーチと話題になったけれど、7:3でマレー優位というところで話が落ち着いていた。先日のリオ五輪SFではストレートでマレーが完勝していたし、対戦成績からいってもマレー優勢は動かないだろう、とは思っていた。実際、昨晩寝る前にライスコ(Live Scoreboard)を覗いた時には、第2セットもマレーの1ブレークリードだったので……。
これで錦織はマレーから通算で2勝目をあげ、言うなればリオ五輪、さらには春のデ杯での惜敗のリベンジも果たしたわけだけれども。
記録を見ててふと気づいたのは、錦織がマレーから初勝利を挙げた'14年の最終戦RR、フルセットで惜敗した今年のデ杯、そして今回。ともにインドア(今回の場合は途中からスタジアムの屋根が閉まってインドアになった)という共通点。その他マレーの6勝は全てアウトドア、しかも錦織は全てストレートで敗れている。
師匠のレンドルはインドア大会で無類の強さを誇ってたんだがなぁ……。
マレーがインドア大会が苦にしている、あるいは錦織がインドアが大の得意というわけではないようだけれど、今回はいろいろな面で天候、アウトドア→インドアという展開が結果を左右したということは多分にあるような気がする。
とはいえ、騒音やその他で集中を乱したマレーに対して、最後まで集中を切らさずに勝ち切った錦織は見事の一言。
スタッツでWinners/Unforced Errors(凡ミス)の比較を見ると、錦織:W48/UE60に対し、マレー:W29/UE46と、両方とも錦織の数字が大きく上回っている。
現在の男子テニス界で、No.1のジョコビッチと共に鉄壁のディフェンス力と安定性を誇るマレーに対し、5セットマッチとはいえ48本のウィナーを獲る(しかもサービスエースは1本のみ)ということは、錦織が後方での打ち合いのみならず、ネットプレーも交えて果敢に攻め続けたという証拠だろうし、60というUEの数もその代償だったのだろう。
準決勝の組み合わせは以下の通り。
- Novak Djokovic[1] (SRB) vs Gael Monfils[10] (FRA)
過去のH2H(Head to Head:過去の対戦成績)はジョコビッチの12勝負けなし。
GS大会では過去、'05と'10の全米、'06全仏の3度対戦がある。3セットマッチのマスターズ大会でも何度も対戦しているが、モンフィスは第1セットを先取しても逆転されるか、フルセットに持ち込むものの結局振り切られているという展開が多いような。
今回もジョコビッチが優位ではあろうけれど、昨年までの圧倒的な強さがやや影を潜めつつあり、このところ左手首の不調を訴えているというジョコビッチ。それに対し、今回は'08の全仏以来、8年ぶりにGSでSFに進んだモンフィス。QFに続く番狂わせが起こらないという確証は、ない。 - Stan Wawrinka[3] (SUI) vs Kei Nishikori[6] (JPN)
ワウリンカの3勝2敗。錦織の勝利は、準優勝した一昨年の全米QFと、7月のMSトロント大会。
マレーを破って2年ぶりSFに駒を進めた錦織と、復活を遂げつつあり、今大会も台風の目になると予想されていた'09年の優勝者デルポトロをQFで下して勝ち上がったワウリンカ。
対戦成績から言えば、錦織にとってワウリンカは、マレー(及びジョコビッチ)に比べればやり易い相手といえるのかもしれない。この二人を含むBIG4と比較すると、好調の時は4人を凌駕しねじ伏せるプレーを見せるものの、不調の時は下位選手にあっさり敗れるなど、波が激しい選手でもあるし。とはいえワウリンカにしても、勝ち上がってくるのが錦織よりマレーの方が嫌だっただろう。加えて一昨年のリベンジを期しているのはワウリンカだろうし。
この勝負、ひとえにワウリンカの調子如何か、と。
さてどうなることやら。
この大会の結果で、ツアー終盤戦、ひいては最終戦の結果も変わってくるような気がする。
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「見た人の怪談集」 [Book - Horror/SF/Mystery]
幕末~戦後期の文豪、作家による実話系怪談(風短編)によるアンソロジー。
◎「見た人の怪談集」著)岡本綺堂他(河出文庫刊)
◆内容紹介(裏表紙から)
これが一番こわい怪談だ、をよりすぐった傑作15篇。綺堂の絶品「停車場の少女」、<お前、寒かろう><こんな晩>と見事に紡がれる八雲の「日本海に沿うて」、芥川の最晩年「妙な話」、気持ちの悪い荷風「井戸の水」、女の手首の怨念、大佛次郎「怪談」、最恐!橘外男「蒲団」…実話!あの田中河内介の…… ◎解説=阿部日奈子
劈頭を飾る綺堂の「停車場の少女」をはじめ、聞き書き(という体裁)の作品が中心となっており、その点ではタイトル通りなんだろう。
以前読んだ「文藝怪談実話」や「私は幽霊を見た 現代怪談実話傑作選」、あるいは6月に記事をUpした「文豪山怪奇譚―山の怪談名作選」に近い路線かとも思ったが、その3冊とは編者が異なる―というか、此方は編集部の選定によるものか―ので、裏表紙にある概要の通り、怪談の"怖さ"をストレートに愉しめる作品が揃っている。
どれもこの辺りの作家による怪談アンソロジーではほぼ入ってくるマスターピースぞろいらしいが(Amazonのレビューによると、その点がマニアにとっては物足りないらしいw)、幸い自分は綺堂と、佐藤春夫「化物屋敷」以外は初読だった。
全15篇。
- 停車場の少女 岡本綺堂
- 日本海に沿うて 小泉八雲(訳=田部隆次)
- 海異記 泉鏡花
- 蛇 森鴎外
- 竈の中の顔 田中貢太郎
- 妙な話 芥川龍之介
- 井戸の水 永井荷風
- 大島怪談 平山蘆江
- 幽霊 正宗白鳥
- 化物屋敷 佐藤春夫
- 蒲団 橘外男
- 怪談 大佛次郎
- 沼のほとり 豊島与志雄
- 異説田中河内介 池田彌三郎
- 沼垂の女 角田喜久雄
印象に残ったのは……
「兄さん寒かろう」「お前寒かろう」とかばい合いながら凍えていく兄弟がただただ悲しい≪鳥取の布団≫が登場する、小泉八雲「日本海に沿うて」。
禁忌を犯した訳でもないのにこの惨たらしい結末。やはり人間には立ち入るべからざる領域があったということか―田中貢太郎「竈の中の顔」。
芥川龍之介「妙な話」は、舞台や流れは綺堂の「停車場の少女」に似通ったところもあるが、オチの捻りは現在のショートショート的。平山蘆江「大島怪談」は、あらすじよりも、後半の辻褄の合わぬ点に気付くと……。
豊島与志雄「沼のほとり」は描写から戦中戦後の様子が伺えるが、印象はどこか英米の古典怪奇小説のようでもある。
そして……橘外男の「蒲団」。
以前から怖いという評判は聞いていたが、読んでみるとやはり怖かった。この作家、猟奇物、エログロな作風を得意としたというだけあって、この不条理なグロさは、確かにな、と。
因みに表紙の写真は、杉か檜あたりの針葉樹の木立を写した何ということもないモノクロ写真なのだろうが、どことはなしに薄気味悪く見えるのは、本の内容を意識するからなのか。
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