「Dark Sky island」 -ENYA- [Music]
”アイルランドの歌姫”エンヤの7年ぶりの新譜が出たのが先月20日のこと。
◎「Dark Sky island」 ENYA
1988年メジャーデビューアルバム『ウォーターマーク』以来、全世界累計7,500万枚以上(日本でも累計450万枚以上)のセールスを記録しているエンヤの最新作。08年『雪と氷の旋律』以来、実に7年ぶり7枚目となるオリジナル・アルバム。
新作『ダーク・スカイ・アイランド』は、英領チャンネル諸島に実在する、“サーク島(the island of Sark)”から大きなインスピレーションを受けており、自動車の使用が禁じられるなど21世紀においても独自の法律や自治権を持っていて、「世界一美しい星空を眺めることが出来る島」として知られている。
新作は、これまでの作品と同様、中心人物&リード・シンガーのエンヤ、プロデューサー兼エンジニアのニッキー・ライアン、そしてニッキーの妻でありすべての作詞を手がけるローマ・ライアンの3名が中心となって制作されている。
先行リード・トラック「エコーズ・イン・レイン」は、エンヤの並ぶ者なき素晴らしい歌声と荘厳なトラックの絶妙なハーモニーが胸をうつ、美しい一曲となっている。
前作『And Winter Came…』(邦題:雪と氷の旋律)がリリースされたのが'08年の冬。翌年にはベストアルバム『The Very Best of Enya』が発売されていたけど、それからもう6年が経っていたのか、と。
久方ぶりに新譜が出ることを、この9月に知ってから待ちわびていたが、いざ発売されると店まで買いに行くヒマがなぜか取れず、結局Amazonでポチることに。今月頭に届いてからPCとカーナビのHDDに落としてヘビロテ気味に浸っている。
自分が購入したのは、ボーナストラックが3曲追加された”Deluxe盤”。
1. The Humming...
2. So I Could Find My Way
3. Even In The Shadows
4. The Forge Of The Angels
5. Echoes In Rain
6. I Could Never Say Goodbye
7. Dark Sky Island
8. Sancta Maria
9. Astra Et Luna
10.The Loxian Gate
11.Diamonds On The Water
~Bonus Trucks~
12.Solace
13.Pale Grass Blue
14.Remember Your Smile
雪や氷、クリスマスなど冬そのもののイメージだった前作(当初はクリスマス・アルバム の予定だったこともあるが)に比べ、今作は全体を通して”旅”や”水の流れ”、”海”といった初期の頃のようなイメージを想起させる歌詞世界、サウンドになっているという感想を持った。前作のリリース以後、7年という時間を置いたことで原点に戻っていったところもあるのかもしれない。
それでも、初期の頃にはなかったポップス的な側面もあって、ただの懐古趣味、マンネリズムに陥っているわけでもなく、やはりこの人―エンヤ本人と、プロデューサーのニッキー・ライアン、全作詞を手掛けるローラ・ライアンの3人でなくては作り得ぬ音楽世界を作り出している。
先行リリース・シングル(ネット配信限定)の5.、情熱的なリズムや曲調と対照的に、愛の終りを歌った詞が特徴的な3.、作詞者のローラが創作した架空の言語”ロクシャン語”で歌い上げた10.などが印象に残るが、特に聴き入ってしまうのがタイトルナンバーの7.。
アルバム作製のインスピレーションとなったサーク島は、完璧な夜空を見られるようにするため、極力光で島を汚染しないようにと指定された、”光害フリー島”即ち「Dark Sky Island」なのだという。そしてこの曲も、満天の星空の下、波音が囁くのを聴くような美しいメロディーと詞なのだが、サビで繰り返される”Come back to me, come back to me”というフレーズが、遠く離れた大切な人や、二度と会うことの叶わぬ相手に呼びかけている―ようにも思えてくる。
この人の音楽を「みんな同じに聞こえる」と評する人もいる一方で、「昔とは変ってしまった」と不満を覚えるファンもいる。感じることは人それぞれなのだろうが、作り手も、そして聴き手も齢を重ねているのだから、変化しているのはある意味で全く自然なことだろう。そして変わらないのは、このEnya(エンヤ自身とニッキー/ローラ夫妻の三者によるユニットとも言える)が構築する音楽世界は、これまでも、これからも唯一無二のものということ……ではないかと思う。
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7月と「雨のリグレット」 [Music]
今日から7月。
今年も折り返し点を回ったことになる。この6ヶ月何をしただろうかと考えると、思考がよくない方向へとまた陥ってしまいそうなので、それは置いといてw
九州の南の方は記録的な雨が続いているそうで。
箱根は小規模ながら噴火するわ、イヤな事件は毎日のように起こるわ、こちらの気分まで何やらこのところの梅雨空のように鉛色になりそうだが。
それでも、雨も考えようでは情緒あるものでして。
”雨の夜”と聞くとすぐに思い出すのが、この曲。
- 「雨のリグレット」 稲垣潤一Live
日本のAORを代表する一人、稲垣潤一のデビュー曲('82年)。デビューが29歳の時で、この人の曲にハマったのは'80年代半ばから後半、自分は中高生の頃だった。CMにもよく使われていたし。
……この人の歌詞を実感を以て味わうのは、少なくともそれから数年経ってからですが(^^;)
凍える寂しさを 片手で支えて
電話のボックスで くちびる噛んでる
乾いた交換の声が優しげに
「使われてません」と 告げれば
しのび雨
時代を感じる詞でもある。
今月9日には62歳の誕生日を迎えられるとのことだが、デビュー30年を過ぎた今も、その透明感のあるボーカルに衰えはない模様。
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ソチ五輪と"Winter Games" [Music]
あと1時間少々で2014年冬季オリンピック、ソチ大会が開会式を迎える。
男女フィギュアスケートをはじめ、日本人選手の金メダルが期待されている種目も数々あるようでして。今大会をアスリートとしての集大成として考えている選手もいるようなので、全ての選手がこれまで培ってきた、持っている力を全て出し切れて、悔いを残さないことをただ祈るばかり。
直前まで準備の遅れが報じられていた現地だけれど、大丈夫なんか?
ところで。
冬季オリンピックのテーマ曲というと、いつも真っ先に思い出すのがこれ。
- David Foster - "Winter Games" - Official Video
1988年、カルガリー冬季オリンピックでのテーマ曲だが、その後もスポーツをはじめ様々な番組で使用されているので、誰も一度は耳にしたことがあるのでは?
ちなみに自分は、テレビ東京系の「モーターランド2」OPの印象が強いw
カルガリー大会……記憶があやふやだったので調べてみると、アルペンスキー大回転の"爆弾男"A・トンバや、スキージャンプの"鳥人"M・ニッカネンらが活躍した大会だったとか。スピードスケートの黒岩彰選手が、サラエボ大会の屈辱を晴らして銅メダルを獲得、涙を流していたのは何となく覚えている。
26年も昔なのかぁ。
明日は関東の平野部でもかなりの積雪になりそうという予報。
幸か不幸か、明日は―テニスは100%中止なので―予定がないため一日家にこもることになりそうだが(家の前の雪かきだけは、やらにゃならんだろうなぁ)、大雪に加えて強風もあるとかで、かなり大荒れになりそうな気配。
交通機関等は相当混乱しそうなので、お出かけの方は足下含め何卒ご注意をば。
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「炎のランナー」と、記憶の片隅のメロディー [Music]
メロディーだけは覚えているものの、タイトルなど詳細が皆目わからないという曲が、誰の記憶にも1つ2つはあると思う。
これだけネット上に情報があふれている昨今、アーティストやタイトルの一部分、歌なら歌詞のサビの1フレーズ、あるいは使われていたTV番組や映画など、断片でもわかればそこから手繰って調べていくことも可能だろう。
だが、歌詞のないインストゥルメンタル曲で、どこで耳にしたかも定かでないような曲だと一気に手詰まりになってしまう。
何らかの楽器ができるならば、それを演奏した音源をネット上にUpして尋ねてみるとか、最後の手段としてCDショップの店員の前で口ずさんで「この曲なんですが」と訊いてみるという方法もあるのだろう。だが楽器もろくにできず、記憶の中にある旋律を正確に表す自信もない自分にとっては、それらの手段も無理がある。
かくして、あるメロディーは正体不明のまま記憶の片隅に残ったままだった。
さて、BS-TBSで毎週水曜日の23:00から放映している「SONG TO SOUL」なる番組がある。
どんな音楽、楽曲にも必ず「はじまり」があります。それらはある時、この世界のどこかで生まれました。やがて音楽は育ち、あるものは洗練され、あるものは形を変え、時空の旅を経て、ようやくその人の元に辿り着いたのです。
この番組は、多くの人々の心に響き続けるソング(名曲)のルーツを辿りながら音楽を生み出したソウル(魂)と音楽に魅せられたソウル(魂)をつないでいく、新しいジャンルの音楽番組です。
―「番組紹介」より―
今月上旬のこと、録画予約のためにHDDの番組表をつらつら眺めていたところ、こちらの番組で映画「炎のランナー」のテーマが次の放送予定(12/11)に入っていた。
映画自体は昔TVで放送したものを見ており、この名高いメインテーマを聴きたいがためにサントラ盤を探し回って購入しているほどだ。その曲がどんな採り上げ方をされるのか、そこにまつわる物語というものを知りたくなり、録画予約に入れた。
録画したものをやっと見られたが昨夜のこと。
前半は、オスカーで作品賞他4部門を受賞した映画「炎のランナー」のあらましと、作曲者であり演奏者でもあるヴァンゲリスの、この映画音楽に携わるまでの足跡を紹介し、中盤からは監督であるH.ハドソンやエンジニアのR.プレストンへのインタビューから、このテーマが生れていく経過が語られていく(ヴァンゲリス自身の言葉は残念ながらなかった)。
インタビューの中で、監督のハドソンは―完成版ではメインテーマが流れた―選手たちが波打ち際を疾走するオープニングとエンディングのシーンで、当初はヴァンゲリスの既存の曲をイメージして、実際にその部分を作っていたと語っている。彼曰く「その曲は映像とぴったりマッチしていた」と。
監督が当初考えていた曲がこちら。
- Vangelis - L'enfant(子供) ~アルバム『野生』より
この曲が流れた瞬間、思わず「あっ!」と声に出してしまった。
自分の記憶の中にもう20年以上、詳細がわからないままメロディーだけが残っていたのは、この" L'enfant"だった。
……後から考えれば、この曲と「炎のランナー」のテーマも似通っているのだから、ヴァンゲリスの曲に絞って探す方法もあったかもしれない、が……。
音楽を任されたヴァンゲリスは、しかし「これよりもいいものを作るから」と渋る監督を押し切り、その結果生まれたのが、あの名曲だった、という。
エンジニアのプレストンの言葉通り、" L'enfant"(子供)よりもメインテーマの方が力強さや情熱、絆、友情といったものが明確に表現されており、その意味でもこの映画に相応しいものだったと思う。
視聴後、映画のサントラを引っ張り出して聴き入ったのは言うまでもなくw
もちろん" L'enfant"や、同じくヴァンゲリスが担当した映画「南極物語」のテーマも、Youtubeの「お気に入り」に入れましたw
映画もレンタルして久々に見てみようかな……。
ちなみに、ニュース番組等で一度は耳にしたことのあるこの曲も、実はヴァンゲリスによるものだとこの番組で初めて知った。
- Vangelis - Pulstar ~アルバム「反射率0.39」より
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Cello Suites ―バッハ「無伴奏チェロ組曲」 [Music]
またまた、Amazonで仕事用の書籍を注文するついでに購入。
J.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲」を、サックス奏者の清水靖晃らがテナーサックスで演奏したもの。
1曲目は10年ほど前に車のCMに使われ、その頃買ったクラシックのコンピレーションアルバム(当時ちょっとしたブームだった)にも収録されていた。しばらく前にYouTubeで全曲Upされていたので通して聴いているうちに「あ、このアルバム買おう」と。
最初は組曲の1~3番と4~6番に分けてリリースされたが、’07年に改めて2枚組の完全版で発売された。今回はこちらを購入。
こちらは組曲第1番のみの動画。
聴き覚えのある方もけっこうおられるんじゃないかと思う。
バッハの曲……というよりバロック音楽自体、冬~春のイメージが色濃いように思う(自分だけか?)のだが、Sax版のこちらは、どこかウェットなようで、それでいて乾いているようでもある音色と旋律が、夏の夜に聴くのにしっくりくるような気がしている。
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