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「怪談実話 FKB 饗宴2」 [Book - Horror/SF/Mystery]

 平山夢明監修の<FKB>シリーズ、実話撰(アンソロジー)の第2弾。

◎「怪談実話 FKB 饗宴2」平山夢明 他著(竹書房文庫刊)

◆内容紹介(裏表紙から)
平山夢明監修FKBシリーズ第10弾は、さらに濃い怪談ジャンキーを集めた実話アンソロジー「饗宴2」だ!平山夢明の書き下ろしに加え、初登場は怪談マエストロ安曇潤平、「厭霊ノ書」で衝撃のデビューを飾った幽戸玄太、映像界から殴りこむ手塚眞、高橋ヨシキ、市原克也、芸能界からBBゴロー、文芸からニューフェイス我妻俊樹、それに前回から引き続き参加の円城塔、朱野帰子、神薫、宍戸レイにFKBレギュラー黒史郎、松村進吉、黒木あるじが控える豪華15人。おどろおどろしい恐怖譚がいわば満漢全全席として供される。食するとあなたの精神と肉体の隅々まであの世の毒素が回り、どす黒い血膿が体内から垂れ出すかもしれない。ふと気付くと電車の隣人の耳の穴からもほら……。 

 9月に読了していた「怪談実話 FKB話 饗宴」の第2弾が早くも。第1弾がけっこう愉しめたこともあってこちらも購入。

 ホラー・怪談畑以外からの参加も多く、前回以上に執筆陣がバラエティに富んでいるが、これも「実話系怪談」というジャンルならではのものか。それだけに、単なる心霊実話とは趣を異にするものもかなりあって、実話と創作の境がさらに曖昧なものとなっているような。エンターテインメントとして読むならば“怖がれればいい”のだから、それもまたよし、なのか。

 書き手は15名、作品は全31編。

幽戸玄太:「子供の記憶」
朱野帰子:「隣の人々」「いちかばちか」「名付け」「動物霊」「ガチャン」
安曇潤平:「赤い靴」
松村進吉:「俺は知らない」「うどん」
円城塔:「ドア」「細道」「えんどう豆」
BBゴロー:「ゴローの怖い話がたり」
神薫:「病院バンシー」「孫はイタコ」「這い寄る想い」
宍戸レイ:「呪いのビデオ」「菊と金縛り」
市原克也:「或る撮影の出来事」
我妻俊樹:「自己紹介」「出口」「鬼」
高橋ヨシキ:「うつろな女」
黒木あるじ:「母子」「山盗」「旧家」
手塚眞:「警察の見解」
黒史郎:「迷い酒」「フラッシュ」
平山夢明:「おとしもの」「居候」

 その他、表紙及び扉のオブジェを手がけた舞台美術家の山下昇平が冒頭、このオブジェ作製にまつわる掌編を寄せているが、なるほど、そういうイメージなのか―と納得させられて、奇怪なオブジェの不気味さが一際増すような。 

 我妻俊樹の「自己紹介」「鏡」「鬼」の3本(起きた怪異自体よりも、その不可解さが妙に怖い)、著者の家族やその周囲から材を取った朱野帰子の5本(特に「動物霊」「ガチャン」の2本)、とある作家の別名義と思しき幽戸玄太「子供の記憶」は、タイトル通り“子供の頃の不可思議な体験の記憶”話を連ねたものだが、4つのエピソードのどれも逸品……そして、山下昇平が寄せた掌編などが印象に残る。
 中でも強烈だったのは高橋ヨシキ「うつろな女」。『東京伝説』系列のサイコ恐怖譚のようでありながら、異形の存在としか思えぬ妻の最期の姿に慄然とし……否、聞き手を取り囲む世界自体が既に狂ってしまったようなこの一編は、読了後もジクジクと残る。

 FKBレギュラーの黒史郎、黒木あるじ、松村進吉、そして監修の平山夢明の作品はそれぞれ、おなじみの味わいながら手練れと思わせられるもの。その他の作家陣の作品にしても総じて大ハズレはなかったように思う。

 MF文庫の「怪談実話系」シリーズよりも―監修者の嗜好なのか―ストレートに読み手を怖がらせようという意図が伝わってくる分、個人的にはこちらの方が愉しめた。
 あるかどうかはわからないが「饗宴3」も期待したい。

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