「怪談 ―黄泉からの招待状―」 [Book - Horror/SF/Mystery]
「小説新潮」誌2011年8月号の怪談特集を文庫化したもの―なんだとか。
◎「怪談 ―黄泉からの招待状―」編)「小説新潮」編集部(新潮文庫刊)
◆内容紹介(裏表紙から)
墓地近くで停めたタクシーの運転手が語る奇妙な話、デートした女性に夢の中で付きまとわれる男、怪異蒐集家のもとに寄せられた一本の電話、人が死ぬところを見られるというツアーに参加したテレビ・ディレクターを待ち受ける、この世のものとは思えない光景―。ホラー小説の鬼才から実録怪談の名手まで、7人が放つ戦慄の物語。読むだけで背筋が凍る、史上最恐のアンソロジー。
短編7編+インタビューを収録。
- 怪談の作法(インタビュー)/憑いてるタクシー 稲川淳二
- 鬼ごっこ 竹本健治
- 夢の家 三津田信三
- カストリゲンチャ 堀川アサコ
- 怪異蒐集譚 屍女 中山市朗
- 原罪SHOW 長江俊和
- 樹海 鈴木光司
「怪談特集」の文芸誌を書籍化した割に掲載作品のラインナップはどうも今一つ。実話系怪談にはやや食傷気味という極私的事情はあるにせよ、文芸雑誌として比較するなら正直なところ、先日読了した「オール讀物」の方が面白かった("怪談"シバリと「怖い」全般という違いはあれ)。裏表紙の“史上最恐のアンソロジー”という煽り文は過大広告だなとw
いかにも怪談風なのは稲川淳二「憑いてるタクシー」くらいで(併録されたインタビューの内容はつい先日、NHKのバラエティ番組に出演した際に語っていたこととほぼいっしょだったw)、『新耳袋』の中山市朗「屍女」はむしろMF文庫の怪談実話系シリーズにしっくり来そうな。
三津田信三「夢の家」はいかにもこの人らしいメタフィクションな短編、長江俊和「原罪SHOW」は非心霊系の現代恐怖譚を一ひねりしたといったところで、平山夢明の『東京伝説』シリーズにこんなネタがあったような気もする。竹本健治「鬼ごっこ」は途中まで期待させておいての落差がw
堀川アサコ「カストリゲンチャ」はシリーズ化前提なのかそれともシリーズものなのか。戦後間もない弘前市の見世物小屋という舞台は魅力的なはずだけれど、この作家、そもそも怖い話を書こうとするつもりはないような。
鈴木光司「樹海」は……妙ににスピリチュアルな方面へ進んでってないかこの人。でなければこのオチでOK出すのって
怪談という括りで読まなければそれなりに読み応えもなくはない。もしも雑誌で読んだならば、掲載作品の他にも特集に関連したエッセー等が掲載されて、それが面白かったりするのかもしれないが。
今年の怪談特集号も来年には文庫化されるのかもしれないが、次はいいや……。
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